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プロペラNC削成機

株式会社三井造船昭島研究所
模型船の実験データから何十倍もの大きさの実船の速度とエンジン馬力との関係を推定するものです。しかもその速度が保証速度を下回ってはいけないという厳しい要求がついているのですから、設計者の苦労は並大抵ではない事がお分かり預けると思います。それと同時に、現代の模型船による水槽試験の精度が桁はずれに高い事も理解して預けた事でしょう。
2 水槽試験用模型船の精度は100ミクロン
このように高い精度の試験に使う模型船ですから、その製作精度も高い事は容易に想像できるものと思います。許される誤差は100ミクロン程度です。仮に7メートルの模型船を用いて350メートルの実船に換算したとすると、50倍ですから、100ミクロンの誤差が実船では5ミリメートルの誤差になります。これが許される誤差の限界なのです。船体は曲面ですからこの精度で仕上げる事は容易ではありません。今ではコンピュータ制御のNCマシーンを駆使して模型船を切削しております。でも最後の仕上はどうしても熟練した職人の手仕事に頼らざるを得ないのです。
模型船を推進する模型スクリュープロペラの製作精度は、もう一桁高くて10ミクロンです。模型プロペラの翼の厚みは数ミリメートルですから1%以下の誤差では未だ大き過ぎるのです。0.5%いや更に0.2%という厳しい精度要求が10ミクロンの誤差しか許さない事になるのです。
このような厳しい精度管理があって始めて、現代の高度な造船技術を支える事が可能になるのです。こういう事を知ると、今迄何気なく見ていた試験用模型船がハイテク技術の粋を集めた現代の宝物のように見えてくるではありませんか。
3 模型船の動きはどうすれば本物のように見えるか
ここで話題を変えて、動く模型船の話をしましょう。どんなに本物そっくりに良く出来た模型船でも、ラジコンで動かすと、どうも動きがちょこまかして本物とは違

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